LITTLEGROWTH、という世界

このブログ「sirimiri 雨のひとかけら」は、2016年の10月にヤマグチくんと開催した展示までの記録、がはじまり。
もうずいぶん昔のことのような、けれども今の私の大部分を構成しているような、あの旅、準備期間、展示期間、もろもろの記憶。バスクが好きなんだよ、ってなぜか言い出しにくかったこと。その後、誰かの口から発せられる「sirimiriの時にさぁ」とか「こないだバスクの特集してたよ」とかの言葉を聞くたび、嬉しいようなくすぐったいような気持ちになる。誰かがバスクを知っている、ということ。ただそれだけのことだけれど、私には特別なこと。きっとずっと、特別なこと。

そういう「誰かにとっての特別ななにか」というのは、すべての人にあるのだと思う。当人にしか、ほんとうのほんとうの本質はわからない、特別なこと。ヤマグチくんにとってのそれが、LITTLEGROWTH なのだと思う。

sirimiri の展示の1年前、2015年の10月に開かれた LITTLEGROWTH という個展。小さな(LITTLE)、成長(GROWTH) を合わせた造語を名に持つ展示は、彼の世界観がどういうものかを視覚的に体感するものだった。(のちに、あれは視覚だけじゃなかった・・・と気づいて愕然とするのだけど)
正直に言ってしまえば、これは好きだな、というのと、ふうんなるほど、というのと両方あった。写真を撮っている友人の個展を見に来た、という気持ちでそこにいた。そして、会場には純粋に彼の写真が、世界観が好き、という人も来ていた。好きという人がいて、来てくれて、よかったね、と思った。

3年経って、今年の冬に開催される LITTLEGROWTH Ⅱ。
「自分自身の定点観測になってもらえたら」という想いも込められていて、私はどうだったかな、と振り返る。なかなか、激動だった気がする。
今回はかなり規模も大きく、クラウドファンディングもしていて、私はその告知ページの英文作成を手伝った。英語でコミュニケーションをとるのは苦ではないけれど、文法は苦手なのでかなり気合が必要。自分のことならまだしも、人の特別なプロジェクトをどこまで英語で伝えられるのか。英訳、というのではなく、感覚としては英語の言葉を選んできて、糸でつないでひとつの作品に仕上げるような作業だった。誰かに届きますように、という祈りに似た気持ちで。

LITTLEGROWTH という世界で何が見えるのか。その世界はどこまで広がるのか。その成長の過程を、見てみたいと思う。

【LITTLEGROWTH Ⅱ】
2018.12.23 – 2019.1.5
12:00-20:00
at atelier fluss

Photo : yamaguchi akihiro